原価率の計算式と業態別の目安
原価率は「材料費 ÷ 売価 × 100」で計算します。たとえば材料費300円のメニューを980円で売る場合、原価率は約30.6%です。飲食業全体の平均は30%前後ですが、適正な水準は業態によって異なります。
| 業態 | 原価率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ラーメン店 | 30〜35% | スープ・チャーシューの原価が重め。回転率でカバー |
| カフェ・喫茶店 | 25〜30% | ドリンク中心で原価は低め。客単価と滞在時間が課題 |
| 居酒屋 | 28〜32% | 低原価のドリンクとフードの組み合わせで調整しやすい |
| イタリアン・洋食 | 30〜35% | パスタ・ピザは低原価、肉・魚料理は高めの構成 |
| 寿司・海鮮 | 40%前後 | 鮮魚の原価が高い分、原価率は高めでも成立する業態 |
原価率とFLコスト ── 60%以内が健全経営の目安
原価率だけを見ていても店の利益は管理できません。飲食店経営でもっとも重要な指標がFLコスト(Food=食材費 + Labor=人件費)です。一般に売上に対するFL比率は60%以内が健全とされ、これを超えると家賃や水道光熱費を払った後にほとんど利益が残りません。
たとえば原価率28%でも、調理に手間がかかり人件費率が38%なら FL比率は66%で赤字圏です。逆に原価率35%でも、オペレーションが軽く人件費率22%ならFL比率57%で十分利益が出ます。「原価率が高い=悪」ではなく、食材費と人件費のトータルバランスで判断しましょう。
利益を増やす3つのレバー
メニューの利益を改善する手段は、突き詰めると次の3つしかありません。
- ① 売価を上げる:もっとも直接的に粗利を増やす方法。値上げは小刻みに、価値の見せ方(盛り付け・ネーミング・限定感)とセットで行うのがコツです。
- ② 原価を下げる:仕入先の見直し、歩留まりの改善、ポーションの適正化、廃棄ロスの削減など。品質を落とさずに削れる「ムダ」から手を付けます。
- ③ 販売構成比を変える:粗利の大きいメニューやドリンクが多く出るように、メニューブックの配置・おすすめ・セット提案を設計します。原価率を1%下げるより、高粗利メニューの注文を1品増やす方が簡単なことも多いです。
ABC分析でメニューを仕分けする
どのメニューに力を入れるべきかを判断するにはABC分析が便利です。全メニューを売上(または粗利)の大きい順に並べ、累計構成比で3つのランクに分けます。
- Aランク(累計70%まで):店の柱。品質維持と欠品防止を最優先
- Bランク(70〜90%):改善候補。売価・原価・見せ方の調整でAランク入りを狙う
- Cランク(90%超):貢献度の低いメニュー。廃止・統合・リニューアルを検討
本ツールで1食あたりの原価率と粗利を把握したら、月間販売数を掛けた「月間粗利益」でメニューを比較してみてください。原価率が高くても数が出るメニューが、実は店をいちばん支えているケースは少なくありません。